社会福祉法人 調布市社会福祉事業団 なごみ そよかぜ すまいる まなびや ちょうふだぞう すこやか すてっぷ あゆみ


理事長便り
2012/9/1(土)

 このところ日暮れも少し早くなり夕方には虫の声も賑やかになって、秋の気配も何となく感じられるようになりました。しかし、日中はまだまだ残暑が厳しく暑さも続いています。先日、行きそびれていた近くの百草園の丘陵と里山をノンビリ歩いてきました。木蔭を選んで歩いても風がないとセミの声も結構うるさく暑さが増してくるようです。風が道を通るとひんやりとした木蔭でしばし時を過ごしますが、やぶ蚊がすぐよってきてなかなか休ませてくれません。時折、姿は見えませんが、いろんな野鳥のさえずりを聞くことができ気持ちの良い散策のひと時です。
 林の中では蜘蛛の糸に枯葉が引っ掛かって風に揺れています。ゆっくりと坂道を歩いていくと、この先はどんな景色が待っているのだろうかと少しずつ見えてくる景色に心がはずみ、そして、気持ちをのんびり穏やかにしてくれます。
 先月のロンドンオリンピックでは、暑い夏を更に熱く感じさせた日本選手団の活躍が、見ている私たちに感動と勇気を与えてくれました。
 そのロンドンオリンピックスタジアムの聖火台に再び灯がともされ、8月29日から9月9日までの12日間、第14回夏季パラリンピックが障害者スポーツ発祥の地、ロンドンで開幕しました。出場国、選手数は過去最大規模となっています。特にカメルーンなどアフリカからの初出場国も多く、北朝鮮からも競泳選手が初出場となっていて障害者スポーツ普及が進んでいることを印象付けています。また知的障害のクラスが3大会ぶりに復活し、陸上、競泳、卓球の3競技が実施されます。日本の選手団は17競技に135人の選手が出場し、北京大会以上の成績を目指しています。「パラリンピックの父」と呼ばれているグッドマン医師は、スポーツはリハビリのみならず生きる希望にもなると患者に説いて回りました。医師の強い志と信念からスタートしたこの大会も、今、多くの人達に引き継がれ、ロンドンで新たなページが加えられようとしています。
 今日9月1日は「防災の日」。各地で防災への意識が高まる中、東日本大震災時に「釜石の奇跡」として語り継がれていることがあります。震災で貴重な体験をした岩手県釜石市の小中学生は、ほぼ全員が自力で巨大津波を生き延びました。防災教育で子どもたちが身に付けた対応力が想定外の津波の難を逃れました。釜石市の小中学校の先生方と一緒に8年間携わってきた群馬大学の片田教授は、日頃から防災教育のなかで「どんな津波が襲ってきてもできることがある。それは逃げることだ」と教えてきた。特に中学生には「君達は守られる側でなく、守る側だ。自分より弱い立場にある小学生や高齢者の方を連れて逃げるんだ」と話し、多くの中学生が教えを実践してくれたそうです。その中の一人の中学生の女の子は、自宅で地震に遭遇し、裏に住むおばあさんを連れて逃げるのが自分の役割と、逃げる準備をしているおばあさんに声をかけ待っているとき、第二波の地震が襲い彼女は、タンスの下敷きになり命を落としました。釜石市では残念ながらこの少女を含めて、病気等で学校を休んでいた5人の小中学生がお亡くなりになりました。それでも、命を落としたこの少女も含めて、一人ひとりが「逃げる」ことを実践してくれたおかげで、小学生1,927人中学生999人の命が助かり、生存率は99.8%でした。教授は、死者が出た時点で、自分達がやってきた防災教育は成功したと胸を張れることができない。だから、私は彼女ら死者の声に耳を傾け続ける。防災学は、人の命を救う美学だからだ。彼女らの声を聞くことで、別の命を救うことができる・・・。来るべき大災害に備え、身を守る力と何をすべきかを考えていく事の重要性を改めて感じた。
 さて、社会福祉事業団では24年度第1四半期事業報告書について、8月17日監事監査を受け、8月24日理事会・評議員会で事業報告を含め報告事項6件が了承されました。
新規事業として、障害者地域生活・就労支援センターちょうふだぞうでは、計画相談支援(サービス利用支援・継続サービス利用支援)、子ども発達センター通園事業あゆみでは緊急時等一時養護事業がスタートしています。その他の事業についても計画に沿って順調に進捗し円滑に運営していることをご報告いたしました。
 子ども家庭支援センターすこやかでは8月30日に運営協議会が開催されました。8人の委員の皆さんに委嘱状をお渡しし、引き続き2年の任期で委員をお願いしたところです。
すこやかには休館日を除く毎日、多くの親子連れが遊びに来てくれています。元気に走り回る子どもたちや、安心できる環境で子どもたちを遊ばせて、ほっと一息つきながら同じ子育てをしている母親同士が談笑している姿を見かけます。そのような中では、子育て中の日常でのちょっとした相談を受けることもありスタッフが対応しています。
子育てに関する相談は子育てに悩んでいたり困難を感じている保護者の方に、面接を重ねたり多様なサービスを紹介したり、専門機関を紹介し解決を図る方法を従来から行ってきました。現在もその方法は変わりませんが、年々相談の内容は複雑化してきており、すこやかだけではなく他機関と連携を密にして情報を共有し、関係機関や地域と一緒になって解決を図ることが多くなってきました。
 ちなみに、虐待が心配される相談について、10年間を振り返ってみると、新規受付件数は平成13年度では7件でしたが、平成23年度では128件となっています。また、相談の対応延べ件数では平成13年度は28件、平成23年度では5,196件となっています。これらの相談については、関係機関と連携しながら相談支援を進めています。虐待が心配される相談の件数が増えてきたことは、相談者としては心を痛める部分もありますが、違う角度から見ると、子どもたちを守るネットワークが充実してきたこと、社会的に虐待防止に対する認識が高くなってきたことが見えてきます。
 様々な相談を受ける中で、虐待に至る前でのちょっとした躓きから子育てに悩んだり困難を感じている家庭や親子への働きがけが重要であると考えています。

           理事長   中根 義雄




 
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