社会福祉法人 調布市社会福祉事業団 なごみ そよかぜ すまいる まなびや ちょうふだぞう すこやか すてっぷ あゆみ


3月理事長便り
2015/3/2(月)

 先月、2月16日に当法人の初代理事長加藤哲朗氏がご逝去されたとのご連絡をいただきました。加藤氏の福祉や教育に対する思い入れは強く印象に残っています。時々、元気なお顔でお越しになり、大きな視野で時には優しく、時には厳しくご指導して下さいました。加藤氏からは、調布市社会福祉事業団の設立のためにご苦労された経緯のお話をお聞かせいただいております。昭和49年に調布基地跡地の利用に関する地元三市(三鷹・府中・調布)の市長、議長による調布基地跡地の有効利用についての協議が始まり、福祉ゾーンに特別養護老人ホーム、知的障害者援護施設等の建設計画が始まりました。吉尾前理事長(当時調布市長)と一緒に加藤元理事長(当時調布市助役)は、国や東京都、都議会など関係機関との協議・調整に大変ご苦労され、多くの課題を乗り越え、他に先駆けて都内初の念願の調布市知的障害者援護施設の設置が決定いたしました。一方、調布市では、知的障害者援護施設の運営主体についてどこが行うか関係者間で協議が交わされ、施設利用者となる心身障害児・者親の会の皆さんの意向等を反映させながら、最終的に社会福祉事業団を設立して施設の運営を行うことが決定しました。平成11年6月に法人が設立、翌年の平成12年4月に在宅の知的障害者の援助・支援の機能を持つ拠点として調布市知的障害者援護施設「なごみ」「そよかぜ」「すまいる」が開設されています。加藤氏は様々な功績を残して調布市の発展のため寄与して下さりました。当法人の理事長退任後も長年にわたり事業団発展のためにお力添えを賜りました事に深く感謝申し上げますとともに、生前のご功労、ご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 雨上がりの今日(3月2日)は、空気が澄んでいて雲一つない青空、富士山や秩父の山々がはっきり見えます。少し風が強く吹いていますが日差しもだんだん力を増してきて味スタ通りの桜並木の影も柔らかく、穏やかな春の訪れとともにのんびりした気分にさせてくれます。影は季節とか天気によって雰囲気が変わりますが、すべてのものをシンプルに写してくれる感じがするので良いですね。桜にはまだ早いですが気候も日毎に春本番に向かっていて、盛んに咲き誇っていた梅もそろそろ見頃も終わり、花びらが散り始めています。明日(3日)は、東京に春を告げる深大寺だるま市、境内の特設だるま開眼所で、買った新しいだるまに物事の始まりを表す梵字「阿」を、納めのだるまに終わりを表す「吽」を入れてもらう。この行事が終わると東京にも春の訪れが告げられていると言われています。
 かけがえのない命と暮らしが奪われた東日本大震災から間もなく4年になります。避難者は今も約23万人にのぼるといわれている。国が進めている5年間の集中復興機関も残り1年、様々な課題を抱え各自治体は街の復興を計画し、道路や鉄道、防波堤の整備を加速させています。宮城県岩沼市で、先月(2月11日)、国の防災集団移転事業で新しくできた玉浦西地区の街、災害公営住宅が完成し鍵の引き渡しがありました。岩沼市には東日本大震災で、7メートルを超える津波が街に押し寄せ、200戸以上の家が流され、150人の方が亡くなり海沿いの6つの集落は壊滅的な被害を受けました。震災発生直後の大混乱の中、阪神淡路大震災の支援経験者が、そこで得た教訓から冷静に主導し行動して、被災された避難者を同じ集落ごとに同じ避難所に集まるよう指示していました。その後、仮設住宅も集落ごとに入居することになり、コミュニティの団結力が保たれ後の様々な場面で意見集約もスムーズに行われ住民合意の大きな力となりました。被災後いち早く集団移転を決意、岩沼市はその決意に応え、新しい街づくりについて議論するため「玉浦西地区まちづくり検討会」を発足させました。市と住民が一同に会して6つの集落の代表、移転先候補地の住民の代表や市と都市計画のコンサルタントが参加、専門家もアドバイザーとして加わりました。住民たちと一緒に街づくりを考えたいとアドバイザーとして市に協力したのは、都市計画を専門として住民参加型のまちづくりを全国で手掛けてきた岩沼市出身の東京大学教授の石川幹子氏でした。石川氏は住民との話し合いの中から新しい街のプランを作成し市に提案しました。まず住民の皆さんと被災した街歩きから始め、被災者一人ひとりの津波の体験を共有しながら、どのように街の復興を進めるか自由にアイデアを出し合うワークショップを開き、住民からは次々と「井戸端会議ができるスペースがあればいい」、「(それまで一緒に暮らしてきた)皆の顔を見て過ごしていると一日一日が楽しいの。家族が無事でも、わかんないとこ行っても、毎日面白いことなんてないよ」、「やっぱりこの年になれば、皆、今まで一緒に生活した近所の方々と人生終わりたいよね」等々の意見があがりました。新しい街でも集落ごとに皆で一緒に暮らしたいという強い「願」に、市の担当者は何度も計画を練り直し、集落のあった海岸から内陸に3キロ入った玉浦地区の西側に集落ごとに新しい街をとの結論にたどり着きました。時間がかかっても、皆で話して決めていく。一見遠回りのような方法を選んだように見えた岩沼市の被災者の皆さんは被災地のトップを切って仮設住宅から新しい街への引っ越しを始めています。
 復興道半ばの被災地の皆さんの帰郷への誓い、支援者への感謝、風化の懸念、様々な思いが行きかう中、被災地には4度目の「3月11日」が巡ります。
 さて、26年度も残り1か月となりました。事業団の各事業は様々な環境の変化や背景の中で対応が難しくなってきていますが、26年度の事業団経営は適正に円滑な運営が行われています。調布市の地域福祉の中核として多様な事業を安定的に、各施設の特性に応じた効果的な事業運営を計画に沿って実施してきました。特に、職員は事業団の経営理念・経営方針を共通認識として、公的責任を保ちつつ多様化する支援ニーズに応えて事業運営を行い信頼される事業団として関係者からも評価をいただいています。これは、とりもなおさず職員が日頃から障害福祉事業、子育て支援事業に対してきちんと向き合い、自ら専門職としてのスキルアップを心掛け意識改革を図るなど努力してきた頑張りだと思っています。職員の皆さんの日ごろの活動に対し感謝申し上げるとともに、今後も、限られた予算・人員の中で全職員が同じ方向に向かい、利用者の人権や暮らしを守り、元気に健康な日々を過ごせるよう利用者に寄り添った支援を心がけていきましょう。
                          理事長 中根義雄




 
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