社会福祉法人 調布市社会福祉事業団 なごみ そよかぜ すまいる まなびや ちょうふだぞう すこやか すてっぷ あゆみ


11月理事長便り
2015/11/2(月)

 11月に入りました。早いです平成27年もあと2か月、なぜか時間が経つのがすごく早く感じます。今朝(2日)は東京も12月上旬並みの寒さです。
 この秋の休日に良い天気でしたので、近くの散策路をゆっくりと歩いて秋を探しに出かけてみました。途中、きれいに手入れされた垣根の上には落ち葉が目立ってきています。垣根越しには純白がとてもきれいで清楚な山茶花が咲き、色合いが全く違うピラカンサもたわわに実った赤い実が枝を埋め尽くしていました。空き地にはススキの穂が日差しを浴びて輝いていますが、ススキ以上に目立つのが、黄色い花を咲かせている外来種「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」キク科の植物です。
 もうすぐ立冬です。百草園の丘陵の雑木林の木々も遠くから見るとまだ緑が多く紅葉の気配すら見られませんが、歩いているとドングリや木の葉が落ち、ガサガサ音がします。落葉した葉の中には赤、緑、黄色、褐色に染めた渋い色具合と虫食いや斑点の模様の葉はまさに秋の色です。クヌギの葉の色も少し黄色がかってきています。木々越しに上を見ると青空が立っており、こんな高く広い青空を見上げるのも楽しみのひとつです。丘陵は四季おりおりの彩りを与えてくれて私たちの心を和ませてくれています。段々畑をつなぐ斜面を見るとポツンと柿の木が一本、かなりの古木で存在感があります。広い畑の真ん中に立つ風景は情緒があって秋の寂しさと相俟って感傷的な気持ちにしてしまう原風景です。段々畑も野菜の収穫が進み、掘り起こされ畑に菜くずが散乱して緑も少なくなっています。昔ながらに収穫を終えた稲が束ねられ干してあります。農家の方は、これから疲れた田んぼに元気と栄養を与えるため稲わらや堆肥を土と混ぜて来年の準備に入るそうです。街の彩も秋一色に、季節は着実に冬へ向かっているなと実感します。もう一度、のんびりと秋の散策を楽しみながら紅葉を見にここを訪ねてみようと思います。
 あの東日本大震災によって引き起こされた大津波。宮城県名取市の海岸から約1キロにあった県立宮城農業高校は高さ10m、校舎2階まで浸水、校舎や寮、家畜舎などの建物そして農業実習のための田畑などが全て津波の被害を受けてしまいました。宮城農業高校は県内では一番大きな農業高校ですが、震災では多くの牛や豚、にわとりなどの家畜が犠牲になりました。学校では乳牛が34頭飼育されていましたが、全頭、津波に流され命はほぼ絶望的かと思われました。ところが、津波が引いた後の名取市内の所々で、農業高校で飼育している牛が何頭も見つかりました。なぜ助かったのか、それは、地震発生直後の津波が来る前、2人の農業実習助手が、つながれている牛を何とか助けようと、牛舎へ駆け戻って牛を逃がした事でした。津波に流された牛たちは自力で泳ぎながら生き延びた。生還した乳牛は14頭、生き残った中には妊娠している母牛もいました。手分けをして生存した牛たちを探しだし、「よく生きていてくれた」と喜び、牛とともに学校の再生を誓ったそうです。奇跡的に生き残った牛たちは、被災を免れた宮城県加美農業高校や県の畜産試験場に預けられました。校舎や施設がすべて流され、授業もままならない状況から、宮城農業高校は、その後、仮設校舎に移って授業を再開しました。牛舎も簡単なビニールハウスでした。この中で、女子生徒有志は津波から生還した乳牛が産んだ仔牛や孫牛も大切に育て続け「助かった命をつなげ、『営農』の歴史をつくりたい。」を目標に頑張ってきました。今年は,5年に1度開催される「乳牛のオリンピック」と言われる「全日本ホルスタイン共進会(全共会)」の県予選が行われ参加することになりました。
 この県予選に災禍をくぐり抜け生き延びた母牛「レジェンド」から生まれた「スピカ」が挑戦しました。昨年(26年)県が行った品評会の大会ではビリでしたが,県内のプロの酪農家と競って見事に出場8頭のうちの1頭に選ばれました。何としてもリベンジしたかったそうです。飼育している生徒の一人は、自身も名取市の自宅を津波で失い、今年5月に再建したばかり。「ここまで来られたのは、支援をしてくれた人たちのおかげ。何より、生き残ってくれた牛たちに感謝したい」と話していました。
 先月、NPO法人調布心身障害児・者親の会の皆さんと事業団との話し合いが行われました。毎年一回、この時期に話し合いの場を設置していただいています。日頃、親の会の皆様には、障害福祉・子育て支援事業に深いご理解とご協力を賜り、当事業団の円滑な運営に多大なご尽力を賜り深く感謝を申し上げているところです。
 皆様からは様々なご意見ご要望をいただきました。例えば、子ども発達センター通園事業あゆみでは、通園している園児の就学を見据えた指導の充実や卒園児の就学後も「子ども発達センター」の支援を継続してほしい。子ども家庭支援センターすこやかでは、すこやかでの相談は18歳未満の児童とその親が対象となっているが、学齢期以降の発達に関する事、学校での困り事についての対応や相談事例の件数が年間どのくらいあるのか。その他、各施設の事業に対しましても就労移行支援事業の現状と今後の展望について。ショートステイ(短期入所)或いは日帰り介護事業では、ご家族の病気や冠婚葬祭など一時的な支援、ご家族の身体的・精神的不安の軽減を図るレスパイト(一時的休息)の利用しやすい受け入れ先の要望、女性用の重度重複障害者グループホームや性別に配慮したグループホームの設置、行動援護の事業等々、様々なご意見ご要望をいただきました。障害の種別や年齢を問わず、障害の早期発見、早期療育につなげる意義は大きく、障害が発見された子どもやその家庭に対して、医療・保健・教育の各機関から提供される支援を適正かつ正確に活用できるための相談支援の充実がますます重要になってきています。一方、特別支援学校等を卒業した生徒や成人の障害者が地域で自立した生活を送れるよう、企業実習などの就職支援にして取り組んでいますが障害を受け入れてくれる企業は依然と少ないのが現状で就職が厳しい状況となっています。ライフステージが変わっても一貫した支援を円滑に行うために、引き続き、保護者の悩みや不安感を安心感や信頼感に変えて、親身になった相談体制・支援が相談支援の基本と思っています。引き続き相談体制の充実を図り、関係機関との密接な連携のもと支援の強化を図っていく必要がある事を感じました。話し合いの中での貴重なご意見ご要望等につきましては、皆様の意を十分受け止めさせていただき、今後の各事業の改善・充実に努め、福祉制度を利用する方々への配慮を強く意識し、地域から期待される事業を展開しながら利用者の皆様が豊かに安心して、地域で過ごせるようにしっかりと支援し、公正性・安定性に優れた事業団運営に取り組んで参ります。
 新年度予算の編成もまだまだ調整、協議が必要な時期、厳しい経営環境下において簡素で効率的な組織づくりのもと、事業団経営の基本方針を踏まえつつ予算編成に取り組み、サービスの質の向上への工夫や努力を心がけているところです。
 このところ日が暮れるのが早い、何事にもゆっくりと行動を起こすのが定番の私でも動きを早めなければ…、もう来月は師走だと思うと焦る気持ちが出てきます。              
                                理事長 中根義雄




 
前後の記事