社会福祉法人 調布市社会福祉事業団 なごみ そよかぜ すまいる まなびや ちょうふだぞう すこやか すてっぷ あゆみ


5月理事長便り
2016/5/2(月)

 5月、ゴールデンウイークに入っています。桜の花も散り、近隣の丘陵も淡い緑色が染まり、いよいよ新緑の季節を迎えています。雑木林がみせる様々な新緑の濃淡の変化は美しく、植物の力強さを感じ、生命の息吹や自然からのエネルギーを感じます。
 事業団施設周辺の桜も4月に入って満開の花は風にゆれてひらひらと散り始め、やがて風はなくても、音もなく静かに花びらを散らし、止める事無く花吹雪となり辺り一面を桜色に染め、花を散りつくしたその後、「桜蘂降る」萼(がく)についていた赤い蘂(しべ)が歩道周辺を敷きつめていました。いまは淡い緑色の葉に変わり緑のトンネルとなっています。桜は開花までが長く期待させていたのだから、そんなに早く散ることもないのに何故そんなに散り急ぐのか、もう少し咲いていて楽しませてくれたらと思うほど散り始めるとあっけないものです。
 私は5月31日をもって調布市社会福祉事業団理事長を退任いたします。この間、皆様には社会福祉事業団の推進と発展に、多大なるご支援、ご理解、ご協力を賜わり心から厚くお礼を申し上げます。今月で事業団理事長に就任して5年2カ月に入りました。就任した2011年4月の前月には東日本大震災の発生、そしてこの度退任する前月に九州熊本で震度7の地震。理事長就任、退任のそれぞれの前月に大震災、何か因縁めいているようで、私の心の中にまたひとつ悲哀が残ってしまいました。
 先月、14日(木)の夜、九州熊本地方を中心に震度7の地震が発生、9人の方が亡くなり多くの建物が崩壊し大きな被害が出ました。その後、続く余震は過去最高ペースで推移していたところ、16日(土)午前1時25分にマグニチュード7.3の激震が襲いました。当時、政府の「全避難者の屋内避難」の方針、あるいは天候悪化の可能性もあり、断続的に続く余震におびえながら、もう大きな地震は起きないだろうと避難先から自宅に戻っていた人。15日早朝に約4万人以上だった避難者は、電気など生活インフラが徐々に回復したこともあり、同日午後には約7千人まで減っていました。多くの方が帰宅している16日に再び「本震」とされるこの地震に巻き込まれ、既に傷んでいた家屋の倒壊や土砂崩れが相次ぎ尊い命が奪われ多数の負傷者もでてしまい甚大な被害が発生しました。犠牲になられた多くの方々とご遺族の皆様に対し、心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。
 地震から半月、九州の広い地域で未だ強い余震が続いています。熊本県内の避難者は、約12万人、エコノミークラス症候群により亡くなった方もいます。避難生活の長期化で震災関連死や、ストレス症状の顕在化が懸念されています。被災地では避難所の整備も少しずつ整い始め、ボランティアの受け入れも始まり救援物資も被災された方々へ流れるようになってきました。被災者の方々も自主的に避難所で活動している姿や休校中の子どもたちが避難所で活躍している様子が伺えました。長引く避難生活で疲労がたまる大人たちは子どもたちに勇気づけられています。熊本県西原村や益城(ましき)町の避難所では、自分たちも被災して避難者でもある小・中・高校生らが、自主的にお年寄りに対しマッサージやトイレのサポートを行っています。また、避難者の大人に交じって、子どもらが「ボランティア」として活動。自ら炊き出しやごみの回収、新聞の配布などの活動をしています。「自宅が全壊し、地震の恐怖で寝られないこともあるが、皆のために出来る事をがんばる」と子どもの声は力強く、その姿が被災者たちを励ましています。一緒に活動している母親は「子どもたちは助け合うことの大切さを学んでいるのかもしれない」と目を細めていました。
 大地震が発生すれば、誰もが頭によぎるのは家族や友人、知人の安否だろうと思います。被災地の状況を伝える情報はテレビや新聞等マスコミからが多くなっています。いつも気になってしまうのが埋もれて知られずにある災害弱者といわれる障害者の方々の被災状況です。震災における障害者支援は大変厳しい状況にあることは、先の東日本大震災でも言われていました。福島県相馬市では、「障害のある方は避難生活が長く続けられず戻ってくるケースがある」。また、現地支援をした団体の方は、「避難所ではほとんど障害者の方を見かけることがなかった」と話しています。熊本地震の被災地では、これから障害のある人も長い避難生活が強いられます。障害者施設で受け入れ可能であればよいですが、施設や職員も被災している場合もあります。一般の避難所での生活が難しい障害者を受け入れる「福祉避難所」が大幅に不足していて、やむを得ず自宅で生活をする人、親せきや知人の家に身を寄せる人など、理解ある人との環境の中での生活が不可欠です。障害者には多くの支援や人の手が必要です。現地で未だ混乱している状況下では、障害者の情報は埋もれた存在になっています。障害のある方と寄り添うご家族の皆さんは、肩身の狭い思いをしながら、気を遣い避難先で苦労され不便な生活に耐えています。収まらない余震や将来への不安などからストレスがたまり体調を悪化させやすくなっています。障害のある方は自分の体調不良やストレスを訴えるなど意思表示することが苦手な方も多く、被災された皆さんが一日も早く安心して日常生活が送れる日が来ることを祈っています。
 今日も、事業団援護施設なごみの利用者の皆さんは明るく元気に過ごされています。寄り添う職員も明るく笑顔で利用者に向き合う姿にいつも感謝しています。事業団の障害福祉、子ども・子育て支援事業も年々、拡大し多様化しています。利用者の人としての尊厳を大切にし、快適で豊かな市民生活が送れるよう職員がしっかりと経営理念に沿って利用者の支援を行っています。これからも継続して関係機関と調整、連携を取りながら情報を共有し、事業団は地域の福祉の中核として利用者の皆様や行政、関連団体からも評価され信頼されるよう、円滑な事業団運営を推進してまいります。皆様のご理解ご協力を宜しくお願いいたします。理事長在任中に寄せられた皆様からのお力添えや励ましに深く感謝申し上げますとともに、事業団運営を縁の下で支えてくれた職員の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。皆様の益々のご健勝ご活躍と事業団の益々の発展と私たちの大事な利用者の皆様の幸せを祈念いたします。
        
                       理事長 中根 義雄




 
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