福祉の仕事に限らず、組織が将来にわたって事業を続けていくためには、職員が安心して、そして生き生きと働ける職場であることが何より大切です。当事業団では、これまでも仕事と生活の両立を支える取組を、職員の声を大切にしながら一つひとつ進めてきました。

現在、厚生労働省の介護と仕事の両立支援のシンボルマーク「トモニンマーク」を取得するとともに、東京都が推奨する「育業応援企業」にも参加し、子育てや介護など、それぞれの生活を大切にしながら仕事を続けられる職場づくりに取り組んでいます。

一方、超高齢社会を迎えた今、シニア世代が安心して働ける環境を整えることも大切な課題となっています。総務省によると、65歳以上の高齢者は3,624万人と過去最多となり、高齢者の就業者数も943万人と過去最多を更新しました。当事業団でも、60歳の定年後に引き続き再雇用として働いている方や、グループホームでの利用者支援や学童クラブでの見守りなどで65歳を超えた方が、これまで培ってきた経験を生かして活躍しています。

シニア世代の方々に、無理なく、長く働いていただくことは、職員本人にとってだけでなく、法人にとっても大切なことです。そして、持続可能で安定した事業運営を続けていくためにも、シニア世代を含め、さまざまな世代の職員が力を発揮できる職場づくりが欠かせません。

こうした中、主任職以上の職員による定例会Aチームでは、3年間にわたり「シニアが安心して働ける環境づくり」をテーマに検討を重ねています。定年後も働いている職員や、これから定年を迎える職員との座談会も開催し、働き続ける中で感じていることや、定年後の生活について、率直な意見を出し合いました。

その声をもとに、これまで60歳の定年後65歳までとしていた再雇用制度を見直し、本人の希望や適性、評価などを踏まえて70歳まで働くことができる「再雇用延長職員(ゴールド職員)制度」を導入しました。また、一人ひとりの生活や体力に合わせて、自分にとって「ちょうど良い時間」で働くことができる勤務形態も整えました。

さらに、「定年を迎えるためのガイドブック」や「年金・社会保険の知識」の配付、定年後も働く職員の生活の楽しみ方や長く働くための工夫をまとめた「エイジフレンドリーな職場づくり」の作成など、将来を安心して考えるための情報提供にも力を入れています。このほかにも、作業環境の改善や健康面でのサポートなど、シニア世代が安心して働くための環境づくりを進めています。

こうした取組が評価され、令和8年度高齢者活躍企業コンテストにおいて、高齢者が活躍できる職場づくりに向けた雇用管理や職場環境の改善などの創意工夫が認められ、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰の特別賞を受賞しました。

今回の受賞を、私は大変うれしく思っています。ただ、それ以上に大切なのは、こうした取組が、職員自身が日々の仕事の中で感じたことや気づいたことを持ち寄り、「もっと働きやすい職場にするにはどうしたらよいか」を考え、話し合い、できることから実践してきたことです。

子育て世代も、シニア世代も、それぞれの生活を大切にしながら安心して働くことができる。そして、互いの経験や力を生かしながら支え合う。そのような職場を職員自身の手でつくっていく姿勢が、いつの間にか当事業団の大切な文化として根付いているのだと思います。

これからも、職員とともに考え、より働きやすい職場をつくっていく、その積み重ねが、職員を大切にする法人として、そして地域福祉を支える法人として、これからも歩み続ける力になるものと考えています。