令和7年の初春にあたり,皆さまにおかれましては健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと様々な出来事がございました。中でも,誰もが予測し得なかった能登半島地域での地震は,多くの方々に甚大な被害をもたらし,いまだ不便な生活を余儀なくされている現状に胸を痛めております。被災された皆さまには,改めてお見舞い申し上げます。
私自身も,昨年は多くの変化を経験した一年となりました。年初には,腰椎の圧迫骨折という怪我を負い,約5か月の間ギプスを装着しての生活を余儀なくされました。この間,日々の生活の中で初めて身体を自由に動かせない不自由さを実感し,趣味の野菜作りやスポーツに取り組めない悔しさも味わいました。さらに,歳を重ねるにつれ,かつて健康診断でも特段の問題を指摘されることのなかった身体が,徐々に思うようにいかなくなってきたことも痛感しております。骨折の治療に加え,視力低下への対応や,歯科・皮膚科への通院も必要となり,改めて我が国の充実した医療保険制度の恩恵を身に染みて感じた次第です。
一方,3月には,46年間勤めた職場を退職いたしました。長年の業務の中で多くの仲間と共に味わった充実感や達成感,そして日々の楽しさはかけがえのないものでありました。その仲間たちとの別れには一抹の寂しさもありましたが,同時に肩の荷が下りた安堵感も覚えました。時代が移り変わり,今では転職も珍しくなくなっていますが,私は一つの組織で多岐にわたる分野の業務に携わりながら,私なりの貢献ができたと感じております。何より,共に苦楽を分かち合った仲間たちとの関係が今でも続いていることに,深く感謝しております。
そして,6月には新たに当事業団の理事長に就任する機会をいただきました。これまでに若干ではありますが児童福祉に関わった経験はありましたが,障害福祉分野での生活支援や就労支援に本格的に関与するのは初めてのことで,制度や専門用語の難解さに戸惑いを覚える場面も少なくありません。当事業団の各事業所においては,障害者総合支援法をはじめとする様々な法制度のもと,職員が日々工夫を凝らし,生活支援や季節の行事を通じて利用者の皆さんが地域社会の中で充実した生活を送れるよう取り組んでおります。利用者の方々の笑顔や挨拶に接するたび,その尊さを深く実感しております。
本年も,これまでの経験を活かしながら,障害がある方々や子どもたちが安心して暮らし,健やかに成長できる社会の実現に微力ながら尽力してまいります。
新年を迎えるにあたり,昨年を振り返りつつ私の想いを記させていただきました。本年が皆さまにとって希望に満ちた素晴らしい一年となりますよう,心よりお祈り申し上げます。
理事長 伊藤栄敏