令和8年2月理事長便り←こちらからも内容ご確認いただけます!

 

先月の「理事長だより」では、調布市と連携しながら地域の福祉に応えていくため、新たに「知的障害者施設こもれび」の開設や富士見児童館を受託すること、そして引き続き支援の質の向上と地域に開かれた運営に努めていくことを、今年の抱負としてお伝えしました。

現在、私たち法人を取り巻く環境は、少子高齢化の進行により福祉ニーズが一層複雑・多様化し、制度改正も重なるなど、決して平坦なものではありません。加えて、福祉現場全体で人材不足が続く中、職員一人ひとりの負担が増している現実もあります。そのような状況の中でも、利用者や地域に誠実に向き合い、専門性を高めながら日々業務に取り組む職員は、法人にとって何よりの力であります。

このような状況の中で、これまで以上に大切になっているのが、職員の「仕事と生活の両立」です。仕事にやりがいを感じていても、長時間労働や不規則な勤務が続けば、心身の疲れが蓄積し、支援の質にも影響が出てしまいます。安心して休みが取れること、家庭や自分の時間を大切にできることは、職員個人のためだけでなく、より良い支援を続けていくためにも欠かせません。

当事業団としては、研修や人材育成とあわせて、働きやすい職場環境づくりを重要な取り組みと考えています。休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、業務の見直し、相談しやすい体制を整えることは、職員が安心して働き続ける土台となります。仕事と生活のバランスが保たれてこそ、日々の業務にも前向きに向き合い、成長を実感することができます。

こうした時代の流れを踏まえ、令和2年に職員の声から生まれた「両立支援プロジェクト」が立ち上がりました。育児や介護と仕事の両立に悩む職員が、互いに支え合い、励まし合える職場を目指して、制度の見直しや広報誌の発行、研修の実施、相談窓口の設置など、実践的な取り組みを積み重ねてきました。その結果、特別休暇,積立保存休暇制度や治療休暇(不妊治療含む)、ジョブリターン制度など,職員の声が形となった制度が実現しています。さらに、「育児懇談会」や「小一の壁座談会」、「知ろう・話そう 事業団 with 介護」といった交流の場を通じて、「制度はあるけれど使いにくい」ということがないよう、誰もが気軽に声を上げ、相談できる温かな職場風土が育まれてきました。こうした日々の積み重ねが、互いを思いやり、支え合う空気を生み、職員全体の安心感につながっているのだと感じています。

これまでの取り組みの積み重ねが実を結び、離職率は年々低下し、令和5年度では3%となっています。また、昨年男性職員の育業(育児休業)取得率が極めて高い水準に達したことが評価され、「TOKYOパパ育業促進企業ゴールド(100%達成)」として登録されました。これは、職員一人ひとりの意識と行動が着実に変化している証であり、誇るべき成果です。社会や制度が変化しても、人を支える福祉の本質は変わりません。職員一人ひとりが仕事と生活の両方を大切にしながら、安心して働き続けられることが、事業団全体の力となり、利用者や地域へのより良い支援へとつながっていきます。

「働きやすく、働きがいのある職場」を築くことは、法人の持続的な発展の礎です。育児や介護に関わる方はもちろん、すべての職員が自分らしく力を発揮できる環境づくりを、これからも皆さんとともに進めていきたいと考えています。
やがて「両立支援」という言葉が特別ではなく、当たり前の価値として根付く日を目指し、これからも互いを思いやりながら歩んでいきましょう。

理事長 伊藤栄敏