令和8年8月理事長便り←こちらからも内容ご確認いただけます!

 

私が今、野菜づくりを趣味として楽しんでいる原点は、幼い頃の体験にあるのだと思います。

私の実家は農家でした。幼い私は、両親が畑仕事をしている傍らを裸足で歩き回り、時には土の上に寝転がって遊んでいたそうです。あまりにも自由に動き回るので、私をむしろ縄で畑の杭につないでいたこともあったと聞かされました。本人にはほとんど記憶はありませんが。

その中でも鮮明に覚えている思い出があります。小学生の頃、父と一緒に収穫したキャベツを軽トラックに積み、荷を一つ一つ手渡しで市場の集積場所へ並べる手伝いをよくしました。その帰り道に買ってもらったチューブ入りのチョコレートが、とてもおいしかったことを忘れることができません。

こうした幼い頃の環境が、今でも土に触れることを何よりも好きな気持ちにつながり、両親が残してくれた小さな畑を耕すことが私の大切な趣味となっています。

事業団では、なごみの南側にある畑で、なごみ家族会の皆さんが長年にわたり野菜や果物を育ててくださっています。先日、春に植えたジャガイモを利用者の皆さんが収穫し、採れたての男爵いもをポテトフライにして、ほくほくとしたおいしさを皆で味わったと聞きました。畑では里芋も順調に育っており、秋には芋煮会などが開かれれば、収穫の喜びをさらに分かち合えるのではないかと楽しみにしています。

現在、「こもれび」と「みちふの森」が建っている場所も、以前は利用者の皆さんの園芸・農作業の場として活用されていました。その経緯を調べてみると、多くの方々の努力によって築かれてきたことを知りました。

援護施設開設当初の平成12年、この場所は未利用地であったため、東京都から運動場として使用許可を受けていました。しかし実際には砂利や建設残土が多く、運動場として利用することは難しい状況でした。そこで、施設の園芸活動のための耕作地として整備することになりました。

当初は「そよかぜ」の日中活動として園芸活動が始まりましたが、土地の半分はコンクリートガラなどが埋まっており、そのままでは畑として使えませんでした。調布市を退職された職員や地域ボランティアの皆さんが力を合わせ、土をふるい、小石を取り除き、堆肥を入れながら少しずつ畑へと生まれ変わらせていきました。さらに落ち葉から腐葉土を作り、街路樹の剪定チップを堆肥化して土づくりを続けたことで、土地は年々豊かになっていきました。

平成24年頃からは、なごみ家族会の有志約10名の皆さんが利用者の皆さんとともに園芸活動を継続してくださいました。苦労しながら育てた野菜を収穫する喜びは格別で、その収穫物は施設行事でも大いに活用されました。初夏のバーベキュー大会では採れた野菜が食卓に並び、冬には大根がもちつき会のからみ餅や、新年を祝う会の「なごみ汁」として振る舞われました。また、収穫したジャガイモや野菜でカレーを作る交流活動も行われ、その様子は地域のニュースとして新聞に紹介されたこともありました。

現在、その園芸活動の場の多くは、「こもれび」や「みちふの森」の敷地として新たな役割を担っています。しかし、長年にわたり家族会の皆さんが積み重ねてこられた努力と熱意は、決して失われるものではありません。

残された畑では、今年もジャガイモや里芋を育てています。さらに昨年にはシャインマスカットの苗木を植えました。実をつけるまでには数年かかりますが、その日を今から心待ちにしています。

野菜や果物づくりは、種をまき、苗を植え、育て、収穫するまで、季節ごとにさまざまな作業があります。その一つ一つに楽しみがあり、そして何より、自分たちで育てたものを「おいしいね」と笑顔で囲む時間には、何ものにも代え難い喜びがあります。

これからも、土に親しみ、季節を感じ、収穫の喜びを味わえるよう、春と秋の花植えや芋ほりなどの園芸活動を通じて、皆さんと一緒に心地よい汗を流していきたいと思います。